2013/04/23

FETモタドラ設計 その2 -ブートストラップコンデンサ編-

どうも、Nekosanです。



モタドラ回路製作記事2回目です。


前記事ではドライバ回路の概要を記載したので、回路設計に入っていきます。

たくさんの数式が出てくるので、注意です。

言っても、四則演算ですが。



ドライバ回路の、ハーフブリッジを抜き出した図です。


ブートストラップ回路は比較的単純に構成できます。

使用部品は、

  R1、R2 : ゲート抵抗。
  R3、R4 : G-S抵抗。
  C1 : ブートストラップコンデンサ。
  C2 : IC用バスコン。
  D1 : ブートストラップダイオード。

です。


ここから、部品の選定です。

まずは、ブートストラップコンデンサから。

ブートストラップでは、ハイサイドのゲート駆動電圧を、ブートストラップコンデンサによって得るため、ゲート駆動に必要な電荷を貯めれるコンデンサを用いないといけません。

ブートストラップコンデンサの容量の決め方は、IR社の資料にありました。
http://www.irf-japan.com/technical-info/designtp/dt98-2j.pdf

ブートストラップによって供給される最小の電荷量をQbsとすると、

Qbs = 2Qg + (Iqbs / f) + Qls + (Icbslk / f)
Qg : ハイサイドFETのゲート電荷。
Iqbs : フローティング電源の静止電流
f : 周波数。
Icbslk : ブートストラップコンデンサのリーク電流。
Qls : 周期ごとに必要なICのレベルシフトチャージ。 IR2110は5nC。

で、求められます。

なぜ、ゲート電荷を2倍にして計算しているのかがよくわかりません...。誰か教えてください。


ブートストラップコンデンサは、この電荷を供給して、最大電圧を保たないといけません。

もし、この電荷量をギリギリ供給できる程度の容量なら、電圧がガッツリ下がって、ハイサイドを駆動することができなくなります。

そのため、コンデンサの電荷Qbsは、さっきの式の2倍は最低限必要です。


そのことを考慮して、コンデンサの容量を計算します。

C >= (2 * Qbs) / (Vcc - Vf - Vls)
Vcc : ドライバICの電源電圧。
Vf : ブートストラップダイオードの順方向電圧降下。
Vls : ローサイドFETの電圧降下

この容量のコンデンサが必要です。


ただし、この容量は最小限必要とされる値です。

小容量のコンデンサは過充電を引き起こす可能性があって、ICが損傷する場合もあります。

そのため、このコンデンサ容量は、最低限必要な容量の15倍程度にしたものを目安にします。


で、今回の例に当てはめてみます。

まず必要な電荷量Qbsを求めます。

使用するFETは、IRBF4410です。(図中は、IRFB3607と書いてますが、こちらを使う予定です。)
http://akizukidenshi.com/download/ds/ir/IRFB4410%20IRFS4410%20IRFSL4410.pdf

ゲート容量Qgは、180nCが最大値です。

ブートストラップコンデンサのリーク電流、、、わからん。
と、思ったら、これは電解コンデンサを使うときだけ考えればいいらしい。ひとまず0Aにします。

IqbsはIR2110のデータシートに載ってました。 230uA(max.)です。

動作周波数ですが、1kHz ~ 25kHzで動作させれたらいいなーと思っているので、1kHzと25kHz両方で計算します。

Qbs1 = 2 * 180 * 10 ^ -9 + (230 * 10 ^ -6 / 25000) + 5 * 10 ^ -9 + (0 / 25000) = 374nC
Qbs2 = 2 * 180 * 10 ^ -9 + (230 * 10 ^ -6 / 1000) + 5 * 10 ^ -9 + (0 / 1000) = 595nC



Cを求める式、(2 * Qbs) / (Vcc - Vf - Vls)の分母部分は、

Vcc : 12V
Vf : 0.7V
Vls : 0V

とします。


計算すると、

C1 = (2 * 374 * 10 ^ -9) / (12 - 0.7 - 0) = 66nF

C2 = (2 * 595 * 10 ^ -9) / (12 - 0.7 - 0) = 105nF


です。


この値の15倍ですから、1uF~1.5uFの容量が必要になります。


手元に、1uFのセラミックコンデンサがあるので、これを使いたいと思います。
http://psearch.murata.co.jp/capacitor/product/RDER71H105K2K1C03B.html

1uFで誤差10%ですから、0.9uF~1.1uFですね。

ギリギリですが...。うん。大丈夫でしょう。(おい


しかぁし、先ほどの資料の中に、「少なくとも一つは低ESRコンデンサをデカップリング」という文字を発見してしまいました。

このセラミックコンデンサのインピーダンス-周波数特性を見てみると、1k ~ 25kHzで、1Ω弱ぐらいのインピーダンスがあります。

この値で大丈夫なのかな、という心配がありますが、大丈夫だと思うことにします。



とりあえずこれでブートストラップコンデンサの選定が終わりました。


次はゲート抵抗です。たぶん。



では、しーゆーあげいん!

2013/04/22

FETモタドラ設計 その1 -設計概要編-

どうも、Nekosanです。


今まで何回かモータドライバについての記事を書いてましたが、回路設計メモを兼ねて、ブログ記事にしながら、設計をしようかと思います。


という訳で、第一号記事です。




まずは作ろうとしているモタドラの概要から。


概要
ブートストラップ方式によるNchMOSFETフルブリッジモータドライバ。

駆動対象:DCブラシモータ

電源電圧:12V~24Vより広範囲。

ドライブ電流:80A以上。

動作周波数:25kHz以上。

動作要件:燃えない。


こんな感じの目標を立てています。



ドライブ回路はFETでHブリッジ回路を用いて構成します。

FETをドライブするための回路には、市販のゲートドライバICを使用します。

使用ICはInternational Rectifier社の「IR2110」です。
http://www.irf.com/product-info/datasheets/data/ir2110.pdf

Nchフルブリッジを組んだ場合は、ハイサイドのFETの駆動方法が課題ですが、このICはブートストラップ方式を用いて昇圧することで、少数の部品でハイサイドのFETを駆動することが可能です。

ブートストラップ方式を用いると、PWMのデューティー比の制限や、ハイサイドをONにし続けれないという制限もありますが、簡単に作れるので、この方式を採用しています。


このICのロジック入力は、ハイサイド、ローサイド別々なので、その前にロジック回路を設けます。

マイコンのピン数を抑えるために、1本のPWM信号でハーフブリッジを駆動するように、ロジックを構成します。

そうすると、上下段の切り替えにデッドタイムが必要なので、その回路も追加します。



今まで設計してきた回路は、前記事にも載せていた回路図の通りです。

この記事の説明では、アナログ回路の部分のみ書きました。

マイコン等、デジタル回路の方はまた今度です。


アプリケーションノートを見ながら回路設計をしたつもりですが、メモを取っていなかったので、確認を兼ねて、記事を書いていきたいと思います。




最初ですので、これぐらいで。

しーゆあげいん。

















あっ、目標期日を決めるのを忘れていました。

もうロボコンもシーズンに入るので、設計終了の〆切を決めたいと思います。

〆切は!
5/19!!

です。


これまでに設計を終えないと、実質ロボコンで使うのは厳しいので、これを目標に。


では今度こそ。

しーゆーあげいん!

2013/04/18

ロボコンで使うモータドライバのお話

どーも、Nekosanです。

またもや学校が忙しかったり、部活が忙しかったり、資格の勉強が忙しかったり、眠かったり、鬱になってたりで間が空いてました。

まあ今後もこんな感じが続くかもです。

できるだけ続けて書くようにがんばります。


ここ最近、ロボコンで使うドライバを設計して、テストしたりしていました。

で、いろいろ試してみてから、本番でNchフルブリッジFETのモタドラを使うのはやっぱり怖い、と思って、別案をいろいろ考案中です。
去年のロボコンもモタドラが焼けて動かなかったというトラウマがあるので、怖いんです。はい。

で、とりあえず選択肢としては。。。

①設計しているNchフルブリッジモタドラを使う。
②ドライバの部分を市販のICに置き換える。
③リレーモタドラを使う。

こんな感じです。

①はさっき言った通り、ちゃんと壊れずに動けばいいんですけどね。
FETのドライブに使っているIR2110がよく壊れたり、スパイクノイズがひどかったりして、現状じゃ使えないなぁと。

②は、部室にあるモータなら十分使えるレベルの電流が流せるICがあったので、それを使おうかと。

③は、オムロンリレー使っている安定のモタドラ。

個人的には、せっかく作った自作モタドラがいいんですけど、プライド突き通して失敗するってのはもうやりたくないので、なかなか踏み出せない状況。

とはいえ、まだちょこっとだけ時間があるので、いろいろ改良を考えています。

回路図はこちら。諸事情によりPDF形式になっています。
https://docs.google.com/file/d/0BzWNJDooQAbFOVl4b3k0SzJUc0E/edit?usp=sharing

実験に使った回路との相違点は、
①ゲート抵抗の変更(10[Ω] -> 47[Ω])
②IR2110のブートストラップ用コンデンサを10uFから1uFに変更
③ゲート抵抗に並列にダイオードを追加。ゲートの電荷を逃がす為。
④デッドタイム回路のCR値を変更して、デッドタイム時間を500nsに変更。短い気がするので、今後変更する可能性大。
⑤逆起電力吸収用のダイオードをブリッジダイオードからディスクリートのショットキーバリアダイオードに変更。
⑥IR2110用の電源と、モータドライブ用の電源を分ける。

という感じ。
主に回路の定数の変更です。

また、IR社のアプリケーションノートによると、ハイサイド側のVs端子(モータ端子に接続されている)に、スパイク電圧が発生するらしく、対策が書かれていました。
http://www.irf-japan.com/technical-info/appnotes/AN-978.pdf

寄生成分の影響が結構あるらしいので、配線なども考えないと。。。


とりあえずこんな感じで、もう一度試作回路を作って実験しようと思っています。

もうすぐルール発表だし、早くしなければ...。


では、これぐらいで。
しーゆーあげいん。

2013/04/04

ロボコン部品ガイドブック

どーも、Nekosanでし!

実は昨日寝てなくて、ついさっき24時間起床を記録しました。
まあ記録ってほどのことじゃないですねw。
徹夜やったことないわけじゃないけど、体だるくなるのであんまりしたくないです。
でもきっと夜まで寝ません。がんばる。


今日は、朝から徹夜明けの体に鞭をいれて本屋さんに行ってきました。

いつも通り技術本のコーナーを漁っていたら、これはいいな、と思った本があったので中身確認して購入してきました。

それがコレ。
\デェーーーーーーーーーーーーーン/

「ロボコン部品ガイドブック」
出版:オーム社
価格:2310円

名前のとおり、ロボットコンテストに出場するようなロボットに使われている部品がたくさん載っています。
ロボット製作の初心者の方には是非読んでもらいたい本です。

長年、ロボット製作に携わっている人はほとんど分かると思いますが、こういう部品のリストが載っていると、なんとなく心がウキウキすると思います。(分かってくれる人がいるかな?)
もしかしたら知らない部品とかが載ってたりするかもしれませんよ?

ちなみに目次は、
 1.アクチュエータ
 2.機械要素部品
 3.コントローラ
 4.センサー
 5.電源配線部品
 6.電子部品
 7.入出力装置
 8.素材
となっています。

内容的には回路系のほうが多いです。
部品の数とかが圧倒的ので当たり前といえば当たり前なんですが。

特に、高専ロボコンをやろうと思っている新一年生の方には是非読んでいただきたい。
とりあえず部室に来たらこの本渡して、読んで来い、と言ってやろうかなw。

それと、現役のロボコニストにも読んでもらいたい本です。
特に機械班の方々。
回路のことを知ってるのと知らないのじゃ、大違いなので、せめてアクチュエータとセンサぐらいの知識は知っておいてほしいと思います。

きっと全国の書店にあると思います。
無ければAmazonでポチるんだっ!
http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/427421141X/ref=dp_toc?ie=UTF8&n=465392

というわけで、ロボコニスト向けのおすすめ書籍のお話でした。

ロボコニスト向けといいましたが、電子工作とかやってる人にもおすすめだと思います。
機械要素の知識が増えると、電子工作の幅が広がります、きっと。


他にもこんな書籍あるよ!などの情報があれば、ぜひ教えていただければなと思います。
ブログのコメでも、Twitter、Google+でも構いませんので~。


では、また次回!

2013/04/02

Gitを使ってみよう

どうも、Nekosanです。
もう四月です。
早いもので、一年の大体四分の一が終わってしまいました。

周りのみなさんは、進学とか就職で大変そうです。
ちなみに俺は進級です。まだあと2年は学生ですよ。(たぶん


さて、雑談はここまでにして、本題へ。
今日は、プログラムなどのソースコードの管理を行うシステム、「Git」を使ってみようと思い立っていろいろ調べてました。
(呼び方は「ギット」といいます。)

Gitのシステムのことを「分散型バージョン管理システム」っていうらしいです。
Wikipediaさんが教えてくれました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Git

Gitはソースコードの管理や、ファイルを編集前に戻したい時に、効率的にこのような作業を行ってくれます。
コピペでバックアップを取ったりすると、めんどくさいし、間違ったりすることもあるので、とても便利だと思います。

この辺の説明は他のサイトにたくさん情報があるので、そちらを見てください。
なにぶん、まだ今日勉強し始めたばかりなので...。


Gitを使おうと思ったのは、去年のロボコンのレポートを書いていた時に思ったことです。

いままで、Gitのようなバージョン管理システムを使うどころか手動バックアップさえしてなかったので、どのような変更を施したのかを、レポートに書くことができませんでした。

そのため、記録を取ることが必要だなと感じたため、使ってみようかなーと思った次第です。
ちなみにGitの存在は、とあるフォロワーさんが教えてくださいました。

Gitの他にもバージョン管理システムはありそうですが、とりあえずGitを使ってみようかと思います。


最後にGitについて調べる際に閲覧させていただいたサイト様の紹介です。

「サルでもわかるGit入門 -バージョン管理を使いこなそう-」
http://www.backlog.jp/git-guide/
Gitの概念がとてもわかりやすく説明されています。
実用例も載っているので、実際の使い方もわかります。

「Gitによるバージョン管理入門 for windows」
http://www.plowman.co.jp/school/Git/Git.html#merge
上サイトのさらに詳しい内容が書かれているといった印象です。


では、これぐらいで。
しーゆーあげいん!

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